たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

2006-01-01から1年間の記事一覧

[絵画]無心で描くこと

鉛筆でデッサンを始める瞬間から、これからいい絵が描けそうか、そうでないか決まってしまう何かを感じる。極端に言えば、風景画で始めの水平線一本をうっすらと鉛筆でなぞる時、すでにうまくいったなと判るときと、躊躇いがあって線が決まらないときがある…

[本]どうも引っかかるなぁ

茂木健一郎著『生きて死ぬ私』を、飽きずにひっくり返しては読んでいる。 その理由は、どうも引っかかってしまう一節があるのだ。それは本当だろうかと思いをめぐらせているからである。 ビートルズの「In My Life」の歌詞にちなんで考察されている一節。こ…

[人生]答えのない問い

夏休み初日だった昨晩は、NHKのETVワイド番組『女性の"うつ" あなたはどう向き合いますか』を観た。うつと共に生きる生活風景を克明に追っていくレポート部分もあって、うつを体験した人、現在陥っている人たちがその体験を公開し、互いの理解のため質問をし…

辻征夫『まつおかさんの家』

朝のお勤めの呪文のような言葉が、ほぼ毎日繰り返されている。 あるとき心の中の習慣に気づいた。 自分の場合、それは辻さんの『まつおかさんの家』という詩で、 詩作品というより、ぶつぶつとつぶやく心のうなりと言うのが正しいと思う。 で、詩としてはめ…

茂木健一郎『生きて死ぬ私』

脳科学者の茂木健一郎さんが33歳のときに出版した哲学随想という趣の書籍。 たまたま、うつについて書かれた本を買うために書店に立ち寄った際、 ついでに何かないかなと偶然手にした本だった。 論じられているテーマのそれぞれは、とても小文でコメントで…

見えてくる

目に見えていたはずだが、本当には見てはいなかったということがある。 あるとき会社の階段を歩いていて、ステップの色が淡い緑色であることに気づいた。 何年もそのステップを踏みしめて仕事をしていたはずなのに、その日に気づかなければ おそらく、何色だ…

誕生日がやってくる

もうすぐ自分の誕生日。少し早いが、昨日土曜日に家族で外食に出かけた。 外食というと、見晴らしのよい丘に建つバイキング形式のTというお店が定番になっている。 店内で、娘からプレゼントを貰い、包みを開け、記念写真を互いに撮影しまくる。 臆面もなく…

水彩画筆

あちこちのことにエネルギーを使わず、決めたことに集中しないと なにひとつモノにならないぞ。 そんな決心をして、日頃なかなか買えない最高級水彩画筆を まとめて買ってしまった。ラファエルのコリンスキー毛水彩画筆3本、 ホルベインのコリンスキー毛水…

人のためにという要素

人間の生き方の中には、せめて15%くらいの個人主義でない部分が含まれているくらいがいいと考えるようになった。そんなこといまさら気づくなんて恥ずかしいくらい晩熟な話である。 個人主義でない部分とは、人のために役立つ部分ということである。 たとえば…

自明の理なのだろうか

やがて老いていく存在として規定されていたはずが、周りの色とりどりの景色に目を奪われているうちに、気がつけば頭には白いものが混じるようになり、若いときのようには日々の疲れが取れなくなり、体力の低下を自覚する。 職場においてもそうだ。熟練者とな…

Photoshopは難しい

若い頃、繰り返し読んだ『数学の勉強法』という本のことを思い出した。 著名な複数の数学者が体得した勉強法のエッセンスを記した小さな本だった。 その中にどなたが書かれたか、記憶は定かでないのだが、 内容はこのようなものだった。 まず入門編の易しい…

ふたたび『鏡の法則』について

前回の『鏡の法則』の続きだけれど、この本の中でキーワードになっている 「ゆるす」という行為についてあれこれと思いが巡っている。 よくよく考えてみると、「ゆるす」という行為の不思議さにうたれるのだ。 行為と表現したけれど、実際体を動かして、目に…

『鏡の法則』

野口嘉則さんの『鏡の法則』を読む。店頭でふと見つけた。 人生のどんな問題も解決する魔法のルール、という副題がある。 読んだ人の9割が涙した!という帯も付いている。 結構この手の本は、抵抗できずに弱いかもしれない。何となく香りがする。 で、購入…

植物様!

植物の光合成が盛んに行われた結果、酸素が作られて原始の地球の大気環境ができた、などと解説されている。たしかにボクたち側からすれば、植物様に酸素を作っていただいたということになるのだけれど、どうも植物の方は酸素を作ってやろうと思っていたわけ…

人生論総覧のおもむき

勢古浩爾著「結論で読む人生論 〜トルストイから江原啓之まで〜」を読む。 通常、頭の部分が面白く、そのパターンで押し通されるので、 後半はマンネリ気味となり、放り出してしまう本が多いが、これは全く逆。 前半はお義理で、著名な作家、哲学者の人生論…

散歩に出て

日ざしが延びた。夕刻6時をまわってもまだ明るい。 カメラと犬の引き綱を持ち、ココ(飼い犬)を散歩に連れに外へ出た。 梅雨の合間に特有な、湿り気の多い空気が山の斜面から降りてきて、 犬と自分を包み込む。 見晴らしのいい斜面のポイントに来た。犬を…

本日休業なり

昨日から頭の芯が痛く、やがて次第に関節痛が全身に広がり、 なんだか体調が崩れてしまった。 今朝は、無理すればなんとか行けないことはなかったが、 午前中でへたばりそうな虚弱な体になったようで、 けっきょく会社を休んだ。 業務を休むといっても、アパ…

とっても少数派の考え

景気がよくて株価が上昇している時代は、金儲けの本が店頭によく並ぶ。 いまはそんな外向の時代になっているように思う。 そして振り子が勢いよく振れすぎると、その反動で自省的な内向の時代がやってくる。 書店には、人生論コーナーなんかができて、人生に…

言葉にあやつられて

朝からフラフラと本を読んでいることが多い。 「ヘタな人生論より良寛の生きざま」という松本市壽さんの著書が 机の上にずっと置きっ放しになっている。通読というのではないが、 あちこち読んでいた。 ちょっと考え込んでしまった一文。 生きるため食べるた…

うつの本

野口敬著「うつな人ほど強くなれる」を読み終えた。 店頭で見たとき迷わず買った本だった。 なぜなら病を体験した筆者が、病を冷静に見つめている視点があったから。 さらに原因について淡々と見解を述べているのが、とても新鮮だった。 著者は、うつにかか…

大人のぬり絵

今朝Y新聞を見ていたら、「大人のぬり絵」が脳の活性化に大変いい効果をもたらす という記事が掲載されていた。 ものを見るとき、視覚を働かせるため後頭葉の血流が増すらしいのだが、 さらに「ぬり絵」をしているときは脳全体の血流が格段に上がり、 全体が…

TV番組で

5月末ころ見た、認知症の特集番組が忘れられない。たしかNHKだった。 若くして(と必ずまくらにつけるのが通例だが)認知症に罹ってしまった 元市長の事例の話。 病状が進行していく中で、家族とともに毎年、孫の名前を冠した桜の若木を見に行く。 元市長の…

人生論への雑感

古今東西の人生論を、結論からまとめて批評するという勢古浩爾さんの書物を先日購入した。買ったばかりでまだ紐解いていない。なんだかやらなくてはいけないことに追いまくられて、休日に本をゆっくり読むなんて贅沢なこと(?)はできそうにもない。まあそ…

まったく!

自分に都合の良いときは、それを当たり前と考え(あるいはそんなことを意識したこともなく)、 不都合なものに出くわした時は、誰かがあるいは何かが原因であると考えてしまう傾向。 すべては、自分を中心に世界が、宇宙が回っていると信じきっている。 何が…

詩の生産Ⅱ

今日は日曜日。夕刻には駒ヶ根から東京へバスで移動する日。車中で何を読もうかといろいろと考えあぐねた結果、辻征夫さんと山本かずこさんの対談記『詩の話をしよう』にした。 われながらしつこい感じもするが、どこかに辻さんの詩を生み出す秘密が書いてあ…

『星言葉』

晴佐久昌英さんのエッセイに「離れる」と題される小文があり、ボクはこのエッセイに深く同感した。二十世紀最大のできごとを問われるならば、躊躇なく人類が宇宙に飛び立ったことを挙げたい、と晴佐久さんは言われる。 人類が初めて、自らの住む星を離れた所…

詩を生産すること

辻征夫さんの文章を読んでいたら、辻さんは22歳のときに第一詩集『学校の思い出』を自費出版、そして自分の詩はこれで終わりと思ったとある。しかしその後詩とは無縁でいられなくて、30歳になったとき、詩の書き手になるんだと決意した。このとき考えたこと…

ふう・・・

先週末、仕上げた水彩画をやっとのことで応募した。 提出の際のチェックでは、マット紙サイズを大きくしすぎて規定に入らず、 一回り小さな額を急遽購入してはめ込んだりしてバタバタした。 その反動だろうか、なんだかボーっとした日々が続いている。 しか…

風景との対話

東京藝大名誉教授の三好二郎氏のエッセイを読む機会を得た。 「画家のまなざしの変容〜見ることと見えること〜」という表題にあるように、 見ることを通して芸術論を展開した、軽妙な文章である。 サラッと書かれていながら、本質をズバリ突き、とても惹かれ…

自己という存在

医師でカウンセラーの明橋大二さんが著された『輝ける子』を読んだ。 副題に「100メートルを10秒で走れといわれてもさ、 いっくら努力しても走れない奴っているじゃん」とあるとおり、 子供の育て方に関する明橋さんの強烈なメッセージである。 まず飛…