たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

大人のぬり絵

今朝Y新聞を見ていたら、「大人のぬり絵」が脳の活性化に大変いい効果をもたらす
という記事が掲載されていた。
ものを見るとき、視覚を働かせるため後頭葉の血流が増すらしいのだが、
さらに「ぬり絵」をしているときは脳全体の血流が格段に上がり、
全体が活発に活動する様が、画像で紹介されていた。


おそらく、視覚を使って見るだけの状態にくらべ、
ぬり絵は絵の具を選び、はみ出さないように神経を使って、
うまく手を使うことが要求されるからだろう。


何十年も昔、自分が(まだあどけない?)小学生のとき、図画工作の時間というのがあった。
心底、没頭してしまうひとときだった。そしていまでもその傾向があるのだが、
没頭すると頭の中がカッカとして、耳まで赤くなる状態に入っていく。
これは、血流が最大限にまで拡大して、脳がフルに活動していたということなのだろう。


しかし「ぬり絵」の製作中は脳が活性化しているとしても、
自分の絵を描いているときはどんな状態にあるのだろう。
没頭できている瞬間はとても短くて、どうも迷いばかりの時間を過ごしているように感じる。
描く場所を探すことに迷い、構図に迷い、気分が乗ってこないことに悩み、
1時間くらいグルグルと落ち着く場所を探していることが多い。
そして仕上がらないなぁ、なんて悩みは尽きない。
絵を描くとは、半分は悩み、苦しんでいるようなものだ。


ぬり絵は、おいしいところだけを食べて、健康にもよいという、
大変賢い楽しみ方かもしれない。
でも本格的に自分で描いてみようと、一歩踏み出すと、
まあ、悩みの世界にいらっしゃい! ということになるのだけれど。