たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

人のためにという要素

人間の生き方の中には、せめて15%くらいの個人主義でない部分が含まれているくらいがいいと考えるようになった。そんなこといまさら気づくなんて恥ずかしいくらい晩熟な話である。


個人主義でない部分とは、人のために役立つ部分ということである。
たとえば今流行の財産形成のための投資の話は、やはりどこか寂しくて卑しく感じてしまうのだ。なぜなら株で大儲けをしても、それは個人のふところを潤すことはあっても、それ以上のものにはならない。周りの人がそれで一緒に喜べるのかと考えると、喜ぶのはとことん自分だけである。その裏には儲けた分だけ損した人が居る。投資の利益だけを追求していく行き方は、先細りの不毛の道かもしれないと思うのだ。


貧しいながらも街角で花屋さんが花を売っている。花を求める客がきて、花を買い求める。花を買った人は、手にした花を見てハッピーだろうと思う。これから友人のお見舞いに持っていくのなら、きっと花は友人のこころを慰めるだろう。花屋さんは、代金を受け取って売り上げになる。どこにも損というものがなく、関係する人々がみなある意味で円満だ。
ギュッと要約すると、求める人に求められたものを提供することは、先細りにはならず互いに発展する道のように感じる。


仕事をするならそんな充実感の味わえる仕事、人の役に立っていると実感できる仕事。たぶん、これが王道なのだろう。こんなことを考えるもの、歳のせいか。若いときは儲かりゃそれでいいじゃないかと考えたわけだが。