たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

2005-01-01から1年間の記事一覧

あるコメント

師は指で月を指しているのに、 弟子はその指ばかり見て、師を理解したと思う。 目の前に見える即物的なものごとに目を奪われて、 真の意味に思いが到達しない。 弟子の理解は指を見ているだけだ、月を見ていないとコメントすると、 その指の定義に関する質疑…

村上春樹『象の消滅』

最近、とある紹介文に導かれて村上春樹さんの小説を読んでいる。 今日は『象の消滅』を読み、深い味わいと不思議さに打たれて 今までにない感動を覚えた。 小説というよりポエジーの充満した長編詩なんじゃないだろうかと考えてしまった。 その前に読んだ『…

イルミネーション

ようやくわが家のイルミネーションの飾り付けが終った。 3年くらい前、庭の木にささやかに飾りつけをしてみたのが始まり。 それ以来、クリスマスシーズンが近づくと欠かさず行う行事となった。 たしかこのイルミネーション、3年前はホームセンターの片隅に …

逃げるより

逃げる苦労より、 それをやってしまう苦労の方が すがすがしい。 逃げることで、自分の心に傷をつける。 よりいっそう心が重くなる。 こうして苦をいとわなくなり 苦労を引き受ける人間に成長し、 大人になっていく。 そのことを自覚する頃には 現役を引退。…

不完全さ  その2

人間は、完全なるものを、理想のものとして追及しているくせに、 反面それを現実に手にすることを回避している。恐れている。 どうもそう解釈するしかないなと思う。 先日職場で、若手と車のデザインについてこんな会話をした。 「車は空気力学的な抵抗が小さ…

不完全なるモノ

それは人間だ。 と始めから結論を出してしまう。 有名カメラメーカのCに勤めている知り合いから、以前聞いた話。 コンピュータを駆使して、光線の軌跡を完全にシミュレーションして、 完全なレンズを設計することは技術的には難しくない。 その知人の話では…

雪が降りはじめた

自宅のある駒ヶ根市でも、チラチラと白いものが舞う季節となった。 夕刻になれば、ぐっと冷えてきて零下2度くらいになる。 そう、あちこちのスキー場は、雪つくりの最中で、 ボチボチとオープン日を迎えている。 「あーあ、また雪の季節になったのね。 スキー…

朝のアイロニー

朝は、今日おきるかもしれない心配事を探すのに熱心になる。 好きでしているのではなくて、窮地に陥るのがイヤだからだ。 チェックといいながら、じつは不安なのだ。 不安と心配のチェックをしながら、人生の時間を費やす。 リスク管理という名目で人生の時…

賞賛を浴びたい症候群

誰にも他から認められたい、褒められたいという欲望がある。 人間は一人では生きられない。 何らかの他とのかかわりの中で生活を送っている。 周囲からどう思われているか、どんな位置にいるのかは とても気になる事柄だ。 しかしそうは言っても、この頃、ボ…

雪のシーズン入り

買い物に付き合って、家に戻ったところ、ハウスの屋根のビニールが、 風で破れてピラピラしているのを発見。まずい! 道理でハウスの温度が上がらず、昼間もストーブが作動していたわけだ。 温度で自動的にストーブのスイッチが入ってしまう。 ビニールは寿…

ぶっ壊れた機械?

真の天才とは、ぶっ壊れた機械だと思う。 その意味はこうだ。 普通の機械は、制御する量が行き過ぎると それを検知して逆方向に引き戻す作用が働く。 目的の値になるようにつねに正逆の力が拮抗している。 専門用語で、ネガティブフィードバックというヤツ。…

不安 その3

みたび不安について記したい。 ボクたちは生命の安全、生活の快適さを求めながら生きている。 それらが脅かされそうになると、恐怖を覚えたり不安になったりする。 恐怖や不安は、いわば安全装置や警報装置として機能してきた。 健康診断を受けたり、体調が…

月曜日の朝に

冬の訪れとともに、朝出勤する際の息が白くなってきた。 約4キロ弱の道のりを自転車で通勤しているため、 外気温の冷え込みを肌で感じる。 昨日の朝、信号待ちをしていたら30代くらいの男性だろうか、 ぶつぶつひとりごとのような、掛け声のような声を発しな…

詩作への姿勢

先の文学賞への応募は、生涯で初めての他流試合だった。 選考過程や自作品への批評を、下記ページにまとめた。 http://www.cek.ne.jp/~h.yadayu/bungakushou.htm 詩人のI氏の批評を受けることで、確実に自分の考え方が変わったと思う。 詩作への姿勢というか…

若いなんて自慢できない

ちょっと日ごろ感じているマジメ系のお話。 世間とはお互い様であり、自分ひとりが単独で生活しうるものでは到底ない。 しかしながら、ある年代になり、それなりの経験や失敗を重ね、 深みというものを知るようになって初めて、このことがわかるようになる気…

東京の休日を過ごした

勤労感謝の日で仕事はオフだけれど、今日は週の真ん中なので、 東京で過ごした。とはいっても、吉祥寺に出て、その足で銀座に行き、 次に池袋へブラブラしに行って、いっぱいの人波に酔って疲れて帰ってきた。 出かける前は、都会のスケッチでもやろうかと意…

変人なんだって

最近、映画のDVDが1000円を切る価格で販売されている。もちろん新作は値段が高いが、気に入っている映画や見たかった映画が、安いDVDで気ままに見れる楽しみが増えた。 そもそも、英語の生の音声を何度でも聞いたり、字幕の設定を変えながら、英語の勉強にも…

ある決着

8月21日の日曜日の夕刻、いつものとおり東京へ戻るバスに乗るため、妻の運転する車で送ってもらう矢先だった。家を出発して200mくらい走ったろうか。暮れかかる見通しの悪いたんぼの中の十字路で、右から猛スピードで走って来た乗用車に前輪付近を激…

水彩の色彩

最近、水彩画を描きながらブツブツつぶやいていること。 それは色使いにおける「失敗と対策」。 具体的には、失敗なんてほんとにあるんだろうか、 という思いだ。 ねらいとちがう色になったとか、濃すぎたとか、 思い通りにならないのが、水彩画だ。 後から…

線と色

最近絵を描いていて、やはり線は命なんだと思い直している。 「線と色」と、両者を対等なものとして言う場合が多いけれど、 どうも対等ではない。 線だけで絵は成り立ち得る。 しかし色だけで絵が成り立つだろうか。 たとえばパレットの中の溶いた絵の具の状…

第二のふるさとの風景を

先週の休日から、正々堂々と自分の住まいの周辺で絵を描いている。 じゃ今までどうしていたのかと訊かれそうだ。 今まで、近所では描かなかった。 いや描けなかった、というのが正直な気持ち。 恥ずかしいのである。 だってそうでしょ。 隣近所との、とくに…

ディッケンズの『クリスマスキャロル』

クリスマスが近づいたというわけではないのだが、 先日、ディッケンズの『クリスマスキャロル』を読んだ。 学生の頃の英語の副読本がディッケンズの『デイビッド・コパフィールド』だった。 散々な思いをしながら読んだ(読まされた)のがトラウマになり、 …

絵における退屈

いい絵はこちらをドキドキさせる。 うまく描けているとかそういう評価を下す前に まずこちらに飛び込んでくるなにかがある。 訴えてくるものといってもいい。 それはまだ知られていない世界だったり 色彩だったり、ワクワクさせるなにものかだ。 それが抜け…

不安 その2

先日の記事で、うまく表現できていない気がする。 いや、言い得ていないという感じだ。 自分の中では、あのような分析的な言葉で、ある程度了解できる。 だが、人には伝わらないだろうなという予測も、たぶん当たっている。 これまでの経験からそうなのだ。 …

不安とはなんだろう

この2、3日、ものすごく単純なことを考えている。 そして30年くらい思い込んできたことが、 間違いだったかもしれないと思い直している。 それは不安についてである。 不安は、人生で味わう感情の中でも、 もっとの奥深いところにある基本的な感情であり、 …

落選

今年の6月に応募した地方の新聞社主催の文学賞は、落選と決まった。 11月1日受賞者発表の記事が新聞に載り、丁寧にその新聞を郵送して いただいて詳細がわかった。 30年ぶりくらいに詩を書き、外部への応募投稿はじつは初めて。 勝手がわからなくて、正直に…

リャドふたたび

94年ころ、リャドの回顧展が日本で開催されたらしい。 当時、たまたま雑誌の小さな紹介記事で、画家の存在を知り、 色使いの独特なリャドの世界に興味を持った。 雑誌記事を切り抜いてしまっておいた。 でも日本では、あまり知られていないし画集も手に入ら…

偶然なんだろうか

昨日、長いこと鑑賞したいと願っていたリャドの絵画を、 (むろん複製だけれど)目の前で見ることが出来た。 しかも10作品くらい見ただろうか。 色の使い方とか、筆の運びとかがとても気になっていた作家だ。 平日だから美術館に出かけたわけではなく、 また…

四元さんの詩

最近、四元康祐さんの詩を読んでいることが多い。 手元においてあるとついページを開く。とても共感する何かがあって、 「それ」を言葉にして、詩に仕立て上げるうまさに みとれてしまうことがしばしば。 「そうなのか。こういうことを表現しても、問題ない…

競争

受けてきた学校教育の経験、それからサラリーマンとして集団の中で生き抜く経験から、 「競争」というものをボクたちは無批判に、無意識に受け入れているように思う。 自分が「優れて」いなければ、競争に勝てないし、生きていけないのだ、 という強い思い込…