たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

TV番組で

5月末ころ見た、認知症の特集番組が忘れられない。たしかNHKだった。
若くして(と必ずまくらにつけるのが通例だが)認知症に罹ってしまった
元市長の事例の話。
病状が進行していく中で、家族とともに毎年、孫の名前を冠した桜の若木を見に行く。
元市長の男性は、ずんずんと公園の中を先頭を切って進んで行き、
記念樹が植えられた場所にたどり着く。さ迷うことがない。
つぼみがふくらんでいて、もうすぐ咲くねと皆で顔を輝かせる。
さくらの木はそんな思いとは無関係なのだが、
家族は、つぼみがふくらんだ、もうすぐ咲くようだと
さくらの生長を自分のことのように配慮しよろこぶ。
いのちの世界で思いを共有する。
こうして生き、病み、老いて、死ぬ。
とても印象に残った。