たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

自明の理なのだろうか

やがて老いていく存在として規定されていたはずが、周りの色とりどりの景色に目を奪われているうちに、気がつけば頭には白いものが混じるようになり、若いときのようには日々の疲れが取れなくなり、体力の低下を自覚する。


職場においてもそうだ。熟練者となったベテラン組は、いつしか若手中心の開発現場からは姿を消し、あの人はどうしただろうと調べてみると、外郭団体に出向して調査作業に携わっていたりする。気が付いていなかっただけで、それなりの年齢に到達したサラリーマンは、声をあげることもなくひっそりと住み慣れた場所を去り、それ相応の処遇を甘んじて受けている。


人生に無限ということはないわけだし、何らかの区切りを設けざるを得ない。それが定年という制度として継承されてきたわけだ。


しかし円満でハッピーな定年というイメージが、過去にあったような気がしていたのだ。これは源氏鶏太の小説の世界だけに存在したものだったのか。単に錯覚に陥っていただけなのだろうか。身の回りに起きている現実の諸先輩の姿は、余りに寂しいものだと感ずる。営々と何十年と努力を積み重ねてきた年月の結果が、これなのか。