たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

水彩の色彩

最近、水彩画を描きながらブツブツつぶやいていること。
それは色使いにおける「失敗と対策」。
具体的には、失敗なんてほんとにあるんだろうか、
という思いだ。


ねらいとちがう色になったとか、濃すぎたとか、
思い通りにならないのが、水彩画だ。
後からの修正は、あまり利かない。


水彩の色を重ねて、重くしていくことはやろうとすればやれるが、
でも一発で決めた色のみずみずしい魅力はなくなってしまう。


たいていの場合、なんだか手を入れたゴテゴテした印象は否めない。
その部分だけ重ねたり、気に入らなかったことが見えてきて、
「ああ、失敗と対策だ」と思う。


修正といえば、せいぜい、風呂場でザーザー洗い流して、
浮いた絵の具を落としてやるくらい。
直すなら、描いている瞬間にやるしかない。
しかし、描いているときは野外にいて、光線の量や色合いが
変化するので、色もそんな条件で左右される。
このへんが実に難しいところだ。
本当の色ってなんだろう、と考えてしまう。


最近、自分に言い聞かせていることはこうだ。
失敗なんてない。
だから対策を立てたり実行するのをやめる。
失敗しちゃったと思えて、直したくて仕方なくても、
いじらず放っておいて、頭を冷やす。
他のところを描き始める。


対策することが、実はほんとうの失敗なんじゃないか、
そんなことを念ずるわけだ。