競争
受けてきた学校教育の経験、それからサラリーマンとして集団の中で生き抜く経験から、
「競争」というものをボクたちは無批判に、無意識に受け入れているように思う。
自分が「優れて」いなければ、競争に勝てないし、生きていけないのだ、
という強い思い込みが、支配してきたように思う。
それは本当なんだろうか。
競争している自分たちにそれほど大きな能力の差があるとは思えない。
わずかな差や、ちょっとした運命の噛み合い方で、生きていく途が、
いろいろと分岐して行くことはあるだろう。
しかし、それで生きていけないほど決定的に人生が狂ってきたのか。
転落した人生になったのか。
周囲の人たちにやさしい言葉をかけ、
人に迷惑をかけずに、つつましく生きていさえすれば、
ボクたちは「普通に」生きていける、というのが実感だ。
ならば、「競争」に明け暮れてきた人生とは
一体なんだったのだろうか。
団塊の世代の末裔として、定年という長距離走のゴールが
視界に入ってきて、そんな疑問を思い浮かべる。