たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

若いなんて自慢できない

ちょっと日ごろ感じているマジメ系のお話。


世間とはお互い様であり、自分ひとりが単独で生活しうるものでは到底ない。
しかしながら、ある年代になり、それなりの経験や失敗を重ね、
深みというものを知るようになって初めて、このことがわかるようになる気がする。


若い頃は、権利ばっかり教えられて甘やかされるものだから、対となる義務や
当然持ってしかるべき世界観を養わないまま、そのまま年取ってしまう。いや自分自身を振り返っても、他からそれを明確に教えられた記憶がない。


自我意識なんて、なにも周囲のことなどわからなくたって、ポッと目覚めて活動を開始し、自己の生存条件や利用できるものを探し回る活動をする。自己中というヤツだ。


目には見えず、だれからも請求もされない世界、文句も言われない世界のことは意識領域からスッポリと脱落して、そのまま大人になってしまう。


誰が、日ごろ吸っている空気の代金を請求するだろうか。
誰が、毎日東の空から昇り、地球の気温を上げてくれる太陽の照射代を請求するだろう。
誰が、寝る間も休みなく横隔膜に指令して窒息しないように肺を駆動し続けるのだろう。
脳の無意識領域か?
そんなものを自分で設計して自分の中に装着した?


考えてみれば、数限りない「タダ」のいただき物と、安全と制御によって
自分は生かされているのだった。少なくともこの自意識とは無縁のずーっと奥の方に控えているナニモノかが世界を、そして自分を支えているのだった。


そのことを自覚するまでは、大人になったとは呼ばないのが妥当である。
若いなんて何の自慢にもならない、と少し過激気味に思うのだ。