たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

第二のふるさとの風景を

先週の休日から、正々堂々と自分の住まいの周辺で絵を描いている。
じゃ今までどうしていたのかと訊かれそうだ。
今まで、近所では描かなかった。
いや描けなかった、というのが正直な気持ち。


恥ずかしいのである。
だってそうでしょ。
隣近所との、とくに濃密な田舎の近所付き合い関係のなかで、
そこらの道端で、絵の具をひろげて絵を描く行為は、
「わたしは絵を描く人間、つまり画家である」と宣言しているようなものだ。
そんな大それたもんじゃないし、
好きで描いているだけですよと言いたい。
だから、自分の住む周辺でなく、自分の住む場所から
ドーナツ状にすこし離れたところばかり描いていた。


でも、こんな核心のところを迂回するようなこと
いつまでも続けるわけにはいかなくなった。
この風景が好きでたまらないのだし、それが嵩じて、
ここに住みたくて家まで建ててしまったのだ。
家内のたびたびの勧めもあり、
どっかりと描きたいものを真正面に見据えて絵を描くことにした。


するとどうだろう、なんだか清々しい気分なのだ。
安心して線を走らせている感覚。
描きたいものをまっすぐ見据えて描いているぞという満足感がある。
絵のほうはどんな仕上がりになるのか楽しみだけど、
いろいろ技法的に試してきたテクニック的なことが、
すっと洗い流されて素直に描いている。


そんな中で気付いた描き方や発見を、
文章にまとめてみたいと思った。