たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

何でもないと思っていること

朝10分早く起きる。あるいは会社に15分早く着いて、将来のために学習する。いつもの通勤路の一本はずれた道を歩いてみる。iPODに新しい英会話のCDを入れて聞く。


そんな些細に思える事柄が、実はできない。頭の空想の中では、何の苦労もないことで、いとも容易いことのように思える。しかし、実際には昨日と同じ時間に職場に着き、いつもと同じ行動をして、通りなれた道を無意識に歩く。


だからはっきり自覚すべきなのだ。ボクたちは慣習の中で日々を送っていて、些細なことですら、新しいことはできないというのが真の姿なんだと。つまりは脳は新しいことを嫌がっている。パターン化したルーチンの作業の中で、怠けたいと思っている。


子供のころ思った。大人たちはお金もあり自分で本でも教材でも買えるのに、なぜ簡単な勉強すらしないのだろうと。あるいはなかなか勉強できないと言うのだろうと。いまは、その理由を理解できる。お金もあるし時間もある。だけれど脳の体力が落ちてしまったのだ。


ある程度歳を重ねているのに、理念ばかり振りかざす人間には注意した方がいい。頭で簡単だと思っていることと、現実に簡単かどうかは別ものだ。


そのことすら自覚できていないということは、これも脳の働きが局地的にしか働いていない証拠である。複雑で多様な現実世界の中にありながら、自分の住みなれた理念の世界でしか脳が働かなくなった可能性がある。


脳は本質的に自己正当化という機能を、つねに働かせて生存している。自己正当化の理屈を次々とひねり出して信じてしまう。ますます現実から乖離する傾向があるわけだ。