たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

アリアスその2

前回に引き続き、アリアス像のデッサンを勉強することにした。今回は横顔のデッサン。
先生から描く前の注意事項として、こんなことを教えてもらう。

慣れないうちは、どうしても「線」で描いてしまう。顔など、顔を(似せて)描こうとしてしまう。そうではない。石膏像を面の集合体としてとらえなければならない。線は、本来そこにはないもので、視覚の都合上、面の接線として現れているだけ。あるのは面と光。明るさの異なる面が集まって像を形成している。そのことを忘れないように。
なるほど、そういう観点なのだなと思う。

  • 第1回目の教室(9:30〜12:00)

迫力を生む木炭紙いっぱいのアリアス像を描きたいと思った。石膏像をあちらに向けたり、こちらに向けたりして、光の加減と像の陰影をあれこれ試した。アトリエの照明との関係があるが、横顔がとても美しいなぁといことで、先生の意見とも一致。このアングルに決定。背景に黒っぽい布を置いた方が描きやすいですよといわれて、垂れ幕を準備してもらう(まあ実際、自分で布を画鋲で留めていくわけだが)。

環境のセッティングでだいぶ時間を要してしまい、描き始めが遅くなった。木炭紙を前に全体の構想を練るが、何となく以前のようにはサラサラと筆が(炭が)動かない。なぜかと考える。斜めに傾斜した首や顔の面は、とらえにくい傾向があるのではと思い至る。傾斜した角度や長さを正確にとらえるのは難しい。意外に狂いやすいのだ。
なんだかちっとも進まない感じで、第1回目は終了。まだ頭の形状が歪んでいるし、顔の面の大きさが小さめだ。頭の中の顔の位置も下がりすぎている気がする。

先生のコメント。


「木炭紙の横幅をいっぱいに使うように。
空間が開きすぎているのはおかしい。迫力も出ない。
大きく描きましょう。」
「う〜ん、そうすると木炭紙の縦横比とアリアスの縦横比が
一致しているわけではないから、どう描くんだろ・・・」
「頭の頂上が欠けてしまうのは構わない。
ただし下の線は、ゆるがせにせずしっかり描き込むように。」
「なるほど、そういうことか・・・」

  • 第2回目の教室(9:30〜12:00)

引き続き描き込みを重ねていくことにした。先生からときどき注意をもらう。


描いていく過程で、耳の位置の横に髪のどの部分が来ているか、縦の線ではどうかなどと常にチェックしながら描き進めること。アリアスの横顔でどの部分がいちばん左に出ているか、たぶん髪の毛の角になっているところが出ていると思うけれど、その角度や出ている量が描けているかをチェックすること。頭蓋骨の形状が歪んでいるので直すように。

直すところが出てくると、それはその部分だけではおさまらずに、その周辺や場合によっては全体のデッサンの修正に及ぶことがある。描いては消し、描いては消しという繰り返しの中で、しだいに煮詰まっていくものかも知れないなどと、ブツブツつぶやきながら描き込んでいった。角の部分が引っ込んでしまっているし、頭蓋骨の形状が上手く描けていないことに気づき、ちょっと気持ちが後戻りしそう。横顔が難しいのか、あるいは前から見た顔が描きやすいのか?知らず知らず線で描いてしまう正面からの顔を描く方が、それなりの見え方をしてしまって歪みが見えないのか。
デジカメで写真を撮っていなかったので、今回撮影した。

  • 自宅にて

デジカメの写真をプリントアウトして、デッサンと比べてみた。かなり随所に狂いというか見間違いがあって、まだまだダメねと思った。
深夜にあれこれを手直しを入れて(たいてい自宅で描くとき0時過ぎになってしまう)、修正を重ねた。面で描くということ狂いを徹底的にチェックすることを念頭に。

まだ角の部分が変な感じがする。
アリアス像の持っている美しい雰囲気を、ドカンと表現したいのだけれどなぁ・・・なかなか難しい。美しさはどこから滲んでくるのだろうと思う。


次回の教室に先生にまた見ていただくこととした。