たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

蓮花によせて

友人のBLOGによると横浜三渓園蓮の花が咲いているとのこと。じつは長野の駒ヶ根の山あいにも、畑の間に池を張り蓮を育てている農家があり、先日群生して咲く蓮の花のみごとなさまを眺めてきたばかりだった。


鈴木薫さんという方の写真集『蓮花』は、書店で出会ったときに、その素晴らしさにアッと息を呑んだ。ボクの秘蔵本になっている。鈴木さんは蓮花に出会ってから20年余り写真を撮り続けているとのことで、小さい本ながらその魅力が余すところなく捉えられている。最近、より大判の第2写真集が出たようだ。



蓮の花の成長、開花、花びらの落下、枯れ死までを克明に日本画に描き、人生の儚さを表現する仏画師の方がいらっしゃる。ちょっと手元に資料がなくて詳細を参照できないのだが、はじめ写真かと見まがうほど写実的でいて、どこか超空間にいるような錯覚を起こす不思議な絵画だ。


蓮の花には、どこか現実を超越し凛としたものを感じさせる。それは茎に枝分かれした葉を持たず、ただ一本の茎がスーッと伸びて、その先端に堂々と真上に向かって花弁が開くその姿勢ゆえだろうか。