たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

考え方のかたより 〜大人編〜

自分の考え方や生き方が固まるほど、その弊害も臭みも出てくる。人生はこれでOK!と思ったときがじつは大きな落とし穴に転落するときだ。


それまで優越感と達成感を味わいたいと願いつつ、きびしい努力を重ねたにちがいない。だが、いざそれを所有する状況になったときがいちばん危ない。


しょせん、優越するなんてことは自分の思い込みの錯覚だし、基準が変わればいかようにも変わる。優越する意味をよく考えてみれば、実体はあるようなないような幻のようなもの。オレの方がすごいと思いたいし、人からも言われたい。でも優越の基準は自分で決めただけで、特定の条件で特定の人間の間で限定的にそうなっているだけだ。会社の中でのおのれの優劣みたいなもので、会社を出てしまえば何の意味もない。


達成感だってそうだ。自分が勝手に決めた基準に過ぎず、もっと厳しい基準で生きている人たちが世の中にはたくさんいるのだから、そのような人の前に出たら、きっとなんだか恥ずかしく感じるにちがいない。まあ、この辺で自分はいいや、と中休みしているだけで、オレはよくやったと自慢しているようなものだ。


迷い続け、努力し続け、夢は未達のまま、果てしなく歩いてゆくのが人生なのではないかなと思う。その姿は、けっきょく若い人の姿と変わらない。



2010年6月5日 ナニワイバラ咲く