たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

鉛筆で描く

駒ヶ根で絵を描きはじめた頃、手ほどきをしてくれた友人の描き方にならって下書きをペンで描いていた。多少インクのかすれ気味の状態が、タッチが面白いのだけれど、基本的にはペンは濃淡を出しにくい。それに絵が線画という趣になり、線が主体で色彩は副になる。


次第に、鉛筆を使うようになった。鉛筆で3Hくらいから6Bまで濃淡が自由に出せることと、筆圧により強い線とかすかな線を選ぶことができて、表現の幅が広がるように感じた。


いわゆる字を書くときのような人差し指と親指と中指で持つ持ち方だけでなく、5本の指で鉛筆を握るような持ち方が出来るので、手首のストロークを使い大きな動きも出来ることも分かってきた。


この前者の鉛筆の持ち方に関しては、その訓練を小学生の頃からしてきているので、細かい繊細な描き込みには向いているが、逆にそれが制約になって、チマチマした動きしか出来なくなるときがある。指の運動範囲に限定されるから、ストロークが小さい。
よくわからないが、字を書くモードに脳や手が支配されてしまうようで、なんだか面白くない。自由さがなくなる気がする。


下は、昨年暮れに駒ヶ根の中沢の丘の上に並ぶ家並みを5分ほどで描いたもの。こういう速く描くクロッキー風の鉛筆画のときは、出来るだけ鉛筆が不器用に動くようにする。正確にいえば、指は不器用に動き、手首や腕はノリノリで動かすという感じがする。ためらってはダメだ。


それにしても、この家並みはいつも惹かれる。ついつい足を運んでしまうスポットだ。