たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

自惚れについて

以前、スキーにおける自惚れについて書かれていましたよねと、
Hさんに聞かれて答えた文章をここに載せてしまう。
例によってスキー話になってしまうのだが。

スキーレッスンを受けている時、先生に言われたのですよ。
人の滑りを見て、あの人は下手だなと感じたら自分と同じくらいだと思え。
あの人と自分は同じくらいと感じたら、自分よりうまい人だと思え。
上手い人だなと感じたら、はるかに上手い人だと思え、と。


自分のことは客観的に見れません。
自分の滑走中の感覚しかありません。
だから自分の滑りに対しては、想像の翼が生えてきます。
たいていの場合、それは自慢の翼です。
そして我を忘れて羽ばたく。


だからビデオレッスンはとても不評です。
翼がへし折られて、地表に落ちてしまうからです。
写った自分を見て、これは自分ではないと怒る人もいるそうです。


上達の目安は、自分の滑った感覚と、
ビデオに写った姿とが、どれだけ一致するかだ、
ということも聞いたことがあります。
I先生だったかな?
涙なくしては真の上達はないのだと思いましたね。


この涙というところの深い意味がわかる人は、かなり上達を果たした人では
ないだろうか。
ある日突然に、プロのように滑れたなんてことは、金輪際ないのである。
1mmづつ一歩一歩至らないところを自覚して、それを直す練習を重ねて、
うまく行ったと思えば、また地に落ちてという繰り返しの中でしか、
自己を客観視できるところまでは至らないと思っている。


だから己の才能なんかを口にするなんて、二十年くらい早いのではないだろうか。