たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

ウツが急増した?

読売新聞『「うつ100万人」陰に新薬?』という記事が載っていました。1999年頃まで40万人余りで推移していた国内気分障害患者(うつ患者など)の数が、不思議なことにこの10年で2.4倍と急増し、とうとう100万人レベルに到達したという記事です。さらに、この急増ぶりは、坑うつ剤の国内売り上げの急増ぶりとそっくりな形をした比較グラフが掲載されています。安易で漫然とした投薬により副作用で治療が長引く人が増えたという見解も紹介されています。


たしかに患者数の急増と坑うつ剤の急増の時期の一致や、増え方の相関があまりに高いので、これには何か関連があると考えてしまいました。しかし一方で、最近の「うつの日常化」ともいえる氾濫ぶりには驚かされてきたので、「自分はうつである」と自ら表明する行為に、大きな抵抗感が無くなったことが影響しているのではないかという風にも感じました。


その昔は、分裂症などの精神病と並んで神経症やノイローゼであることを語ることも憚られていた風潮がありました。自分自身、サラリーマン時代にはいくどか精神的な崖っぷちまで追い込まれうつ的な状態を過ごしたこともありますが、医者に見てもらうという発想は余りありませんでした。昔風に耐えて頑張るというスタイルに近いです。健康で無いと見られてしまうことで、サラリーマン社会からの脱落者(出世からの脱落者)となる恐れが強かった気がします。


しかしいまは書店にはうつの本が溢れていて、会話の中でも自らうつであることを隠さない風潮に変化してきました。いつごろからか定かではありませんが、この10年くらいという気もします。比較的軽い症状でもすぐ医療機関へ出向くので、その風潮の浸透により(統計上)患者数は急増したのではないかと想像されます。うつ患者数というのは結局、医療機関での診断数でカウントされるはずですから。また受診者が増えれば、当然坑うつ剤の投与の数も増え売り上げも急増します。このような変化は、クスリの売り上げを激増させる結果となったように思います(その逆ではないと信じたいですが)。


最近は、うつという症状と健康な状態との境界領域は、少しぼやけてハッキリしないのではないかなと感じています。うつ状態がアメーバのように日常に触手をのばして境界があいまいになったのではないかと思えます。日常生活でちょっと凹んだ体験があれば、それはうつの可能性があるからと、とりあえず病院に出向いて、医師の方も、とりあえず坑うつ剤でも出しておくか、という安易な流れがないのだろうか?ということです。


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