異星人がいる
先日一緒に飲んだ人が、画家(芸術家)なんて理解できないし、なりたくもないと吐露していた。その意見には、反感を覚えるわけでもなく、何の感情も湧かないのだが、しかし何十年とこういう考え方で人生を貫いてきた人がいるという事実が、とても新鮮で頭の中をグルグルと巡っている。
この人は、仕事上でも言いたいことをはばからないタイプなので、何を考えているのかが周囲にすぐ覚られてしまう。言動から常々感じるのは、発想のちがいというのだろうか、いやいやもっと根本的に生きているプリンシプルが別種類なんだな。自分のよいと思うものは、他のひとも同様だと信じて疑わないし、それが拒否されると真剣になぜだろうと考えている。
自分はサラリーマンの人生を送ってきていて、その反面いつもその現実からどこか目を逸らしてきたのかも知れない。絵画など自分の世界を構築してきた反面、他から見ればとても不可解で、結局裏のある人物になってしまっている。それが当たり前で何の不思議とは感じない。
そんな裏の世界を持つ必要性をまったく理解しない人が、自分のような人間を、理解しうるとは到底思えない。異星人と見られて当然と言うほかない。
しかし芸術とは無縁で生きてきた人から、どうしても絵を売って欲しいと乞われることがあるのだから、その辺はどうなっているのだろう。突然、自分の中にない要素が無性に欲しくなる心理なんだろうか。