たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

ありふれた時

何でもないありふれた一瞬を
ときに輝きとともに思い起こすのはなぜだろう?
その時が かけがえのない一瞬であったのに
そのときは感じられなかった


助手席に妻をのせて
ハンドルを握っている
外には緑の風景が流れ
とくに語ることもなく
けだるさにつつまれた
静かな昼のひととき


幸せのまっただ中にいるときは
ときとして退屈な時間と感じて
そこから抜け出そうとすらしている


それが過去の一瞬へと遠ざかったとき
つまりは
それを失ったときにはじめてわかる
痛みをともなって