たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

グルーテープ糊

ボクたちはいちおう3次元の世界で生きているから、2次元のものはとても異なものだ。正確にいえば、この3次元世界には2次元のものは存在できないから、限りなく2次元的なものというべきなのだろう。


こんなことを考えるのは、愛用しているグルーテープのり(糊)だ。最近各社から商品として出されている。仕組みはちょっとメカニックだが、糊のついたテープがローラーに沿ってつぎつぎと手繰りだされる構造になっている。ただ際限なくテープが出てきては扱いが難しいので、エンドレスのカセットテープみたいに、使ったところは巻き取られて収納される。


セロテープとまったく同じように、フィルム材に粘着のりが乗っている。ちがうところはフィルムテープの素材にあるようだ。糊のつきにくいテープ材質の上に糊がのっているところがミソだ。したがって糊を着けたい相手にこのテープを押し付けると、糊はテープから離脱して相手に転写されてしまう。


従来は、液体の糊を「何らかの手段で」平面に広げ展開していた。ヘラだったりスポンジの出口だったりする。3次元物体を2次元的なものに変換する作業だ。これが手をベタベタにしたり、糊のはみ出しを生む原因だった。グルーテープ糊は始めから2次元的になっているので、この厄介な作業が要らない。押し付けてドラッグするだけ。


ボクたちは3次元の世界に生きているから、2次元的なものはとても扱いにくい。でも2次元的なものはとても有用。
接着するという原始的な作業は、3次元物体同士の境界面(界面)に、接着剤を2次元的に載せる作業だ。磁気テープというものも、磁性体を含んだ材料を2次元的に展開することで磁化をコントロールしやすくする。メッキは表面被服物質のコントロールだ。そういえば、本だって紙という2次元的な厚さのないものの恩恵を蒙っているしね。