たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

不思議な偶然だな

4月頃から地球という球体の大きさに興味が湧いて、ちょこちょこと調べていた。赤道の周囲長は40,077kmで、南極と北極を通る大円(子午線の一周長)が39,939km。すこし横方向に膨らんだ(138kmほどだが)楕円体なのだ。これは地球の自転による遠心力の作用なのだろうか、地球はそんなに軟らかい水風船みたいなものなのだろうかなどと他愛のない疑問を調べていた。
また、赤道上の地点から北極地点までの距離は、ちょうど10,000kmというキリのよい数値になる(とは言っても何の役に立つのだろうか)。この約1/3の長さが日本列島の長さなんだな。けっこう長いな、などと。


そんなことをツラツラと心の中で考えていた先日、職場の同僚に、ちょっと教えてくれないかと尋ねられた。つまり子供の学校で出された課題について、腑に落ちないことがあるという。ついてはちょっと疑問を解いてくれないか?ということだった。

その問題とは次のようなもの。
東京を基準にして、東京から方位磁石が示す「東」の方向にどんどん進む。曲がらずに直線に進んで船に乗り、車に乗り、どこまでも方向を変えずに進む。すると、やがて北米のサンフランシスコではなく、南半球のブエノスアイレスに逢着する(これが本当)。
よく目にする世界地図を見ると、東京とサンフランシスコは、ほぼ同じ緯度に位置するので、東に進めばサンフランシスコに到着しそうなのだが・・・
それはどうしてなのだろう?
子供の疑問にうまく答えられなくてさ、という相談だ。


地球のどの地点においても、ある方向にズンズン直線状に進めば、必ず地球の大円(地球を真っ二つに切るときの円)に沿っての軌跡を進んでしまう。東京は北半球に属するから、地球の反対側までまっすぐ進んでいけば南半球に到着する。つまりサンフランシスコは、東の方向の延長線上にはなく、ずっと左手方向にあることになる。メルカトール図法の功罪ってヤツだろう。


極端な例で考えて見る。
北極に出かけて、北極点から1mのところに立っていたとしよう(ここを東京としちゃう)。立っている地点と北極点を結んでさらに反対側へ1m延長した地点は、ちょうど北米のサンフランシスコみたいな位置関係になる(すごく大雑把だ)。
でもメルカトール図法で描けば、東京とサンフランシスコは水平な位置関係になるんだね。


さて北極点の1mの地点から、東の方向に歩いていこうとすると、明らかにサンフランシスコのある方向とは直角方向に歩くことになる。直接サンフランシスコに一気に向かうと、そりゃ北方向だよということになる。サンフランシスコに到着するためには、半径1mの円に沿って北極点の周りを左にグルグル回らなければならない。このときメルカトール図法の地図の上で、水平に歩いていることになろう(エヘン)・・・まったくややこしい話だ。