たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

鉛筆画の模写

先日、好きな鉛筆画家の水辺の絵を見ていて、なんとダイナミックな濃淡表現をするのだろうと眺めていた。普通の鉛筆デッサンとはまったく違う取り組み方、別の意識を持って描いているのではないだろうか。


描きかたの解説の中で、だいたいの対象の形が決まってきたら、濃い部分から描き込んでいくと書いてある。画面の中で最大限明るいところは「紙の白さ」以外にはない、したがって最も暗い部分を決めれば、諧調の幅(最も明るいところと最も暗いところの幅:技術用語で「スパン」だね)が決まるという趣旨のことが書かれている。
・・・なるほど。




Ferdinand Petrie 画 「無題」(港の船の風景といったところか)
『初めての鉛筆画教室』エルテ出版 p.52 より
(追記:この絵の表題は「ゴートン埠頭」と判明。
 『初めての風景画教室』エルテ出版 p.118 より)


やはり、うまいな。いいな。


***


それならと、書いてある方法で模写をしてみよう。
しかし、模写はどこまでやれば完成なのか難しい。
描き込むほど濃く黒くなり、紙の目がつぶれていく。
濃淡の諧調がほぼできたら、そこで止めにしなければならない。
それに本の印刷インクは本当の黒で強い。
生の鉛筆で描かれた面はどうしても鉛の照りが出る。
そんなわけで、自分の描き方を客観的に見るために、
いちどデジカメで撮影し、Photoshopで濃さを強めてみた。
どんなになっただろう。
スケッチブックの目の粗さがやや目立つ感じだ。
ケント紙に描いたほうがよかったかもしれない。
そのためか、オリジナルと比較するとシャープさに欠け、
マイルドな印象になってしまった。
それに画面中央のゴチャゴチャした空間の中間諧調がやや不足しているね。



Yadayooの模写 WIRGMAN F6 鉛筆3B、2B、HB、H