たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

本命? 電気自動車

電気自動車が魅力的に思えるのは、その動力のもととなる電気エネルギーの発生のさせ方の多様性にある。
いちばん普及している電気エネルギーの発生のさせ方は、モータを逆動作させる方式。つまりモータの軸を外部の力で回転させて、コイルから電流を得る方式である。蒸気タービンの回転力で軸を回転させるのが火力発電だし、水の落下する重力で水車を回転させ軸を回転させるのが水力発電、つまりダムによる発電である。風力で軸を回すことも可能だ。


火力発電では、蒸気タービンを回すためには巨大なボイラーで水を沸かして圧力の高い水蒸気を作る。まあ、やかんでお湯を沸かして水蒸気が噴出すのと原理的には同じだ。ボイラーには燃料と最適燃焼する空気を送り込む。だからこの工程には、重油や石炭などの化石燃料の燃焼プロセスを含み、CO2の発生は避けられない。それに最適な燃焼管理をほぼ実現しているから、これ以上劇的に改善することは期待できない(ちなみにボイラーの最適燃焼状態をモニターするガスの分析計を開発することをかつて自分は商売にしていた・・・)。
だからこの方式によるエネルギーで電気自動車を走らせても、あまりCO2削減の解決策にはならない。


同様に燃料電池車の開発がいよいよ現実味を帯びているが、水素燃料をいかに、脱CO2プロセスで製造するかがネックになると思う。現在の主流となっている水蒸気改質法は、炭化水素(メタンなど)の化石燃料を高温水蒸気と触れさせて水素を遊離させる方式で、やはり巨大なボイラーが必要となる。ボイラーは化石燃料の燃焼プロセスそのものだ。


先日コメントをいただいたように、自動車の環境への影響を考える場合には、全燃料サイクル分析(Well to Wheel)の視点から考えなければいけない。つまりWell to Tank(油田から備蓄)、そしてTank to Wheel(備蓄スタンドから輸送して車へ)のトータルでCO2の削減の可能性を考慮しなければならない。


クリーンな排気ガスを出さない車を作ることは大変意義のあることだと思う。なぜならエネルギーの最終消費段階で、ガソリン車のようにCO2を大気中に撒き散らすことを放置しては真の対策ができない。またかつての水質保全のための総量規制みたいなことをCO2削減に適用すること、つまりCO2の排出量を各自動車が計測して、走行距離やスピードを制限するなんて現実的ではないと思う。エネルギーを作り出すもとの段階でCO2削減を実現する研究開発を推進して、あるいは規制を行って、消費段階においてはCO2を出さないクリーンな車にしないと実効的な削減策にはならないだろう。


このような背景からボクが希望を持つのは、電気自動車であり、化石燃料の燃焼プロセスを使わない電気エネルギーの生成法の研究開発だ。太陽電池という希望もある。先日のニュースで、ソニーが太陽電池を従来の1/10のコストで製造するプロセスを開発したらしい。
こういう方向は率直にいいなと思う。