たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

逃げ

受験勉強していた頃、試験や模擬テストを明日に控えたその晩に、急に小説を読みたくなったり、普段してこなかった別の勉強のことが気になったりしてわき道に逸れて、結局明日に控えた準備が不十分なまま朝を迎えるということをよくした。そんな経験を、おなじく受験を控えた親友に話すともなくおしゃべりをすると、妙に共感して同意してくれたりした。


でも、つまるところこれは逃げなんだな。目の前に迫った課題をなんとか回避しようとする、正確に言えば困難さやつらさを避けたいという逃げ。心の弱さの表れなんだな。いろんなことに興味を持つことは悪いことではない。だから試験の直前に、急に別のことをやりたくなり、気分転換も必要だとかなんとか言って時間を浪費してしまうのも、まあ仕方ないさと自分に言い聞かせてしまう。でも自分の心をだまして正当化しているだけなんだな。


若い当時にこんなことに気がついて、逃げることなくやるべきことをやり、努力を重ねていれば、少しはマシになったかなどと思い浮かべる。楽しいはずの休日の、楽しんでいるはずの時間に、頭の中ではこんなクラーイことを思ってみたりする。これは結構、きつい気づきではある。


先日ふと読んだ勉強法について書かれた本で見つけた言葉。これはおんなじことを言っているんだな、たぶん。

どうしても音楽をかけるならバロック音楽を。歌詞つきの歌は最悪!

孤独を楽しむということは、「静寂」を味わうということでもあります。しかし、現代人、とくに若い人たちに、音楽を聞きながらでないと勉強できない、という人が増えています。


これはザワザワ感が欲しいだけなのです。学習を真正面からとらえられないこの姿勢は、どこか自分と対峙することを避けたい逃避要求があるような気がします。しーんとした時間と空間に耐えられないのはなぜか、考えてみてほしいと思います。


佐藤伝著『1日5分頭がよくなる習慣』中経出版 p.158