ホームポジション
心にもホームポジションがある。
心はコロコロと変転しているところから言葉から生まれたという。
いつも外界に応じて変化して捉えどころがない。
刺激に対してすぐさま応答していて自分自身の顔がない。
顔がないところが本来の顔というところ。
それなのに顔を欲しがる気持ちが作用することがある。
本来それは不要なことだ。
でも素っ裸ではいけないと思い込んでしまう。
なんにもないということは不安に感じてしまう。
衣を欲しがる。
いろいろな衣を求めて何年も何十年も遍歴したりする。
やがて疲れてくるんだね。
心をどこか偽って生きていることが負担に感じるときが来る。
本来自分のものでないものを自分としていることにね。
そんなとき泣きたくなることがある。
泣くことで心はホームポジションにもどれる。
泣くことは意地を張り虚勢を張っていた殻を捨てることなんだ。
心に沁みる音楽を聴くとき。
感動的な絵画に出会うとき。
すばらしい心の物語に触れたとき。
こころは泣ける。
人生には芸術が必要なんだ。
遊びなんかじゃない。
優れた芸術には永遠の命がある。
心に本質的なもの。