たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

頭の中のスイッチ

運動をやっている人は体験的に分かると思う。動作ひとつとってみても、それぞれ個性があり、その人だということがすぐ分かる。クセといってもいいのかもしれない。その動き方のスタイルでいることが、その人には自然なことなのだ。


体にしみついたクセがなかなか取れなくてね、なんてことを日常使ってしまうのだが、本来体にクセはないのではないかと思う。動きを決めているのは脳からの指令だ。ほとんど無意識に指令を出している脳の回路に、その人なりの個性が潜んでいる。


運動に上達するためには、クセになっている無意識化した脳の回路をいったん、意識の下にさらけ出さなければならない。クセが弊害になり上達を妨げているならば、正しい動きに向けて意識して矯正する必要がある。頭のスイッチを入れ直す。これが実はつらい。これまで自然に動いていたのに、わざわざぎこちない動作を強いるからだ。


指導者が要るのはこのようなときだと思う。放っておけばその人なりのクセのある動作に戻る。そのほうが自然で楽に感じるからだ。そして自分では戻ったことになかなか気づかない。


しかし、ぎこちない練習を意識して続けるうちに、あれほど変だと感じていた運動のぎこちなさの感覚がフッと消えてしまう。あれ元に戻ったのかなと思う。ぎこちなさを強化するような方向へ極端に運動してみる。やはりちがう。それに今までにない感覚が出てくる。よりしっかりとした手がかりみたいなものを感じるようになる。脳のスイッチが入れ替わった瞬間でもある。


運動することでさえこのように頭の中は切り替えにくい。ましてその人の考え方、感じ方については、もっと困難が伴うだろう。ほぼ不可能に近いと感じる。



にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ