永山さんの本が・・・
久しく足が遠のいていた吉祥寺の啓文堂に出かけた。仕事で使うソフト(ExcelのVBA)のしっかりした解説書が欲しくなり、2冊ほど手頃なものを入手。
ついでに美術コーナーに足を運ぶと、永山裕子さんの新しい水彩画集が出たばかりで、棚に平積みされていた。表紙の花の水彩画の素晴らしさに思わず手に取り、こちらも購入。
永山さんの花を描いた水彩画は以前より、偏愛してやまないというくらい大好きなもの。すでに何冊か永山さんの水彩技法書を持っているが、今回のものは画集というまとめ方で愛読書になりそうだ。
水彩画の魅力は、ぼかしやにじみと共に、もうひとつ重要な要素があると思う。それは絵の具を含んだ水のたまりが乾燥したときに現れる鋭い境界線。
紙という繊維質の上に絵の具という不純物が含まれた水滴が付くと、水は周囲へ拡散して広がろうとするが、終いには乾いて境界に絵の具を溜めて濃い鋭い線を残す。これがもうひとつの魅力だ。
しかしこの境界線で形を出そうとすると思いのほか、コントロールが難しい。筆の運びに沿って現れるので、筆のあとが付いてしまったりして、美しい外形線が出しにくい。ちょうど書道の線と同じだ。
ためらいがあるとこの線の美しさは、損なわれる気がする。筆に勢いが必要なのだ。永山さんの水彩画の魅力は、この線の美しさにあると見ている。しかしこれは、なかなか真似のできる技ではない。