たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

重い映画2本

先週、映画を2本、借りてきたDVDで観た。
ひとつは1972年のオリンピック中に起きたテロ事件とその後を描いた『ミュンヘン』。もうひとつは、ボクシングストーリ『ミリオンダラー・ベイビー』。


前者の作品は、ミュンヘン事件を描き出した原著をスピルバーク監督が読み、いたく感激して制作に取り組んだ作品とのことだ。しかしパレスチナ側からもイスラエル側からも高くは評価されなかったらしい。私感として、観るものをどこへ導いて行こうとするのか、その道筋が感じられなかった。たとえ血なまぐさい映画でもそれを昇華させる「希望」がないと映画として成立しないと思った。オランダ女が暗殺されるシーンは、いつもまでも脳裏に残り後味が悪い。それは暗殺者自身ですら映画の中で後悔しているほどだ。作品である以上、美学が要るんじゃないかな。


後者の作品は、ボクシングを通じて貧しさからのし上がる味わいのあるストーリかなと思っていたら、後半に映画のテーマが急展開したような感じでにわかに重くなった。ネタばらしになってしまうので詳細には触れないが、牧師への苦悩の告白とやり取り、そして主人公が最後に選ぶ行動などすんなりと入ってこない。疑問を感じるうえに、このラストの方の締めくくり方が、なんだか伝わりにくい。重たい問題提起をして、そして映画は終った、という感じだ。


ともにクダラナイ映画ではなかった。しっかりした作りでいい映画に属するのだろう。
でも物足らないな。そこに欠落しているものを、虚空を眺め探してしまう。



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