たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

できる人はいらない

BizPlusというサイトのコラムで興味を惹く記事を読んだ。不条理なことに日本では『できる人はいらない』という会社があるという。正確にいえば、『できる部下は欲しくない』という上司がいる。つまりは管理しにくい人は採りたくないのだという。


海外の企業からすればまったく不条理で理解に苦しむこの現象、『できる人はイヤだ』という概念は、実によくわかる。周囲でこのような不条理に見舞われた不幸な人々を幾人も見てきたし、現にそのような境遇にいる人もいるからだ。


コラムでは大体その理由を、5個挙げている。
1.自分を頼ってくる甘える部下は可愛い。(自立した部下はカワイクないし危険)
2.コントロールできない部下は恐い。(だから放り出してしまえ)
3.できる部下と議論しても勝ち目がないし面倒だ(自分の人格が否定されたようなもの)
4.自分のカラーで染め上げた部下が使いやすい。(自分の息のかからないホンモノのプロはごめんだ)
5.仕事の成果よりも、自分が教えた「やり方」を踏襲しているか。(勝手により優れた方法を編み出すようなヤツは・・・)


もしボスがクリエイティブなワンマンタイプだったら、それは個性的な職場というべきで、好き嫌いはあるもののそれはそれで「あり」かもしれない。悲惨なのはクリエイティブでなかった場合であろう。出る杭は抜かれてしまうか、打ち込まれて腐ってしまい、職場はただただ寒々とした泥沼と化してしまう。
重用される部下には、ほぼ同様な(あるいはそれ以下の)精神構造の人間が当てられるわけだから、その下位の組織までしっかり同じ色に染め上げられる。ボスのレベル以上には決して進歩しなくなった職場には、生き生きとしてはつらつとしたダイナミックスが失われるわけで、まあいってみれば老人化した職場というべきだろう。


しかし実力の世界はシビアで妥協がない。そこには勝ち負けが明瞭に出てしまう。仕事でも遊びの世界でもそれは同じ。誰ができて誰が後に控えるべきか、どの職場に勢いがあるかは、だれの眼にも明らかになってしまう。そこに地位とか権威とかを保たねばならないと考え出すからとてもややこしくなる。優れた個性に対して、みなが感じていることを、自分も感じていると素直に自覚できれば、ものごとは単純だ。才能を認め、こき使ってやろうと思ってもいいわけだ。しかしそんな自分の感情に気づいていない上司は、その感情を色めがねにしてしまう。しかもそれに気づかない。己の身に生じた不安定な状況を、できる部下に転嫁してしまうわけである。



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