たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

つり銭

女性店員から小銭のつり銭を貰うとき、警戒されているなと感じることが多い。受け取りのため手のひらを差し出すと、そこへ距離を保ちながらまるで将棋の駒を盤面に打つみたいに、少ない指先でつまんだ小銭をピシッと置く。ひどいときは放り投げられる場合もある。手と手が触れることを忌避しているのだ。手を出しているのに、皿にジャラリと広げられることもある。それを一枚一枚拾い上げなければならない。


以前、お店でアルバイトをしていたことのある娘に聞いたところ、つり銭を渡す手を下からギュッと握り返すオジサンがいるのだそうだ。つり銭は渡さなければならないが、手は握られたくないというジレンマが、そういう渡し方を生み出している。


また、そのような待遇を受けるということは、こちらが「あぶないオジサン」であると感じたことの現われである。渡し方の不自然さ以上に、あぶないと見做されたことがメッセージとして伝わって決して気持ちのよいものではない。そのような機会が増えたということは何を意味しているのだろう。


そんな処遇とは反対の扱いを受けることもたまにはある。あるコンビニでの経験だが、つり銭を上から丁寧に渡すとともに、反対側の手で客の手を下支えするように両手で渡す。どのような場面でも同様だが、お客は(人間は)自分が大切にされていることを感じるときよい印象を持つものだ。


もう一つ。
週末、とある高速道路のFサービスエリアでお土産を買うことが多い。女性の店員さんの対応は、つり銭をこちらの手のひらの中にねじ込むと同時に、下からも包むように渡される。上下から手を握られているかのような形だ。冷え性の手ではなく暖かい。ぬくもりが残る。決して若いとは言えない店員さんなのだが。



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