たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

女性像

ダ・ヴィンチの絵画に登場する女性たちは、女性というより中性的で、むしろ母性的な感じだと、ネッ友のBLOGのコメントに書かれている。


ボクも同感だ。だいぶ『モナ・リザ』を眺めてみたけれど、これは女性というより母親だと思わざるを得なかった。性的なものを飛び越えたその先の世界で微笑んでいる存在に感じる。


むろん母性的な女性像ばかりではないのだが、そうでないとすると今度は天使のような無垢の存在としての女性が描かれる。『受胎告知』のマリア像などは、女性的というより少女と言っていい。


女性像と言ってよいかどうか定かでないのだが、『最後の晩餐』に登場するヨハネと称される人物。この人物こそ一番女性的な雰囲気を漂わせているのは皮肉だ。壁画は傷みが酷いようで詳細には見えない。しかしヨハネと称せられるこの人物のみが首からペンダントらしきものを下げているように見える。ちなみに作者不詳の16世紀に描かれたらしい模写画には何も首の装飾がない。これも変である。


それにしても『最後の晩餐』のヨハネは見れば見るほど、不思議なポーズをとっている。裏切り者がこの中に居ると、キリストが告げたとき、みな驚きの表情を示しているのに、なぜヨハネは両手を組み首を大きくキリストから逸らすように傾け俯いているのだろうか。キリストがこれから受けなければならない弟子たちの裏切り、それに続く悲惨な最後を予感しているからなのだろうか。実は、この人物はマグダラのマリアで、キリストから過酷な運命をすでに知らされていたことを、ダ・ヴィンチは暗に表現しているのだろうか。