たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

リュ・シファ『君がそばにいても僕は君が恋しい』

一週間ほど前に吉祥寺の書店で目にした。
この表題、わかりやすいようでいて難しい意味を含んでいる。
なんだか気になる。手にして読んでみると、単なる恋愛をうたった詩ではない。
言葉はたしかにやさしい日常語だ。しかしその意味が何であるか考えることを
強いてくるような哲学的な香りがあり、
それでいて、詩の空間がそこにポカッと開いているような、不思議な味わい。


好きになった。でも意味がすっきりわからない。
しかしわからなくても好きになっていいはずだ、と思う。
人を好きになるときだって、理由は後からつける。
理屈があって人を恋しく思うわけではない。


それに、こういう空間で成り立つ詩もあるのだなと新鮮だった。
ここのところ自分は詩が書けない。無理に書こうともしていない。
詩は湧き上がるもの、あるいは天から降ってくるものだと信じている。
辻征夫さんは、詩をコンスタントに作り出すテクニックのような
ものがあると書かれているけれど、それすら才能のなせる業で、
湧き上がる泉をおのれの中に抱いていたのではと推察する。


この韓国の詩集を翻訳したのは、あの拉致被害者蓮池薫さんであると
後で知った。