たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

不確かな想像

絵を描いていて思う。気持ちのよい絵とは、間違いなく揺らぎを含んでいると。
でもそれを人に伝えようとしても、おそらく伝わらないと思う。
だから、これまであまり口にしたことはない。でも、それは確かだと思えて仕方ない。


たとえば、そのような絵の反対は、ひと言でいえば単調で退屈。
飛躍がない。想像がついてしまう。あるいは、どこかで見たような。そんな印象を与える。
音で言えば、同じ音の繰り返し。時計のような単調な音は、退屈して眠気を誘う。
さわやかで新鮮な風は、揺らいでいる。予想がつかないことが微かな驚きを与える。
一定量吹き続ければ、体は冷えて痛みさえ感じる。


気持ちのよい絵と、いい絵とは同義ではないけれど、気持ちのよい絵は、
どこか新鮮で驚きを含んでいる。それは揺らぎのような、
予想のつかない振幅を持っているからではないだろうか。
結晶のように完全に同じ繰り返しでもいけないし、かといってカオスの状態で
まったくランダムというのもいけない。
ある統一感がありながら、その周辺で揺らいでいる、そんな微妙な線があるように思う。