ワクワク感
本を読むとき、気に入った文章や素敵な言葉に出会うと、そこにポストイットをつけていく。久石さんの『感動をつくれますか?』を読んでいると、毎ページいろいろな新鮮な言葉に出会うので、いまやポストイットだらけ。
引き続き、久石さんの言葉から。
自分の曲の、最初の聴衆は自分だ。だから自分が興奮できないようなものではダメだ。自分がいいと思って喜べるようでないと、聴く人の心を動かすことは到底できない。最初にして最高の聴き手は、自分自身なのである。
p41
いい言葉だなぁ。モノをつくる人ならば必ず思い当たるところがあるはず。
自分の例で気がひけるけれど、絵を描いていて、ものすごく自分で興奮することがある。描き始めからそういう状態になることが多い。たぶんいいテーマなり、いい切り口が発見できたときなのだろうと思う。正確なところはそのときはよくわからない。時間が経過して、ハッキリしてくる。
しかし家内に見せると反応がイマイチなときがある。家族はずっと自分の絵を見て来ているから経験豊富で、ある意味眼が肥えている。いつもの感じだとか少し変だとか、言葉にならない感じを口にする。で、ワクワクして描いた絵なんかは、たいていコメントしずらいという妙な顔をする。やがて、あんまり好きじゃない、なんて言われる。この落差、落胆は、結構気持ちに響く。
でも最近は、余り気にしなくなった。これはわが家の経験則なのだが、何度もその変な絵を眼にするうちに家内が、これやっぱりいいねえ・・・と前言を翻すことが多い、と気づいたからだ。やった!という気分。やっぱりそうだろ?と問い返したい気分である。久石さんの言葉を、「自分の絵の、最初の鑑賞者は自分だ。」というふうに言い換えた感じがする。
ワクワク感は、人にジワジワと伝わる。はじめは拒否、あるいは違和感。やがて理解がやってくる、という感じだ。