たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

[言葉]風という言葉

友人のBLOGを読んでいたら、「風は心の揺らぎ、うつろい、情感を生み出すものでもあるように思う。」とあった。
http://d.hatena.ne.jp/kyou2/20060801/p1
むろん大気の流動現象を風と呼ぶのだけれど、それを様々なうつろい易さのたとえに使うところが、日本人の感性なのだろうか。


かねてから「風景」というときの風は何の役割をしているんだろう、なぜ風という文字をつけるのだろうと不思議に感じていたので、漢和辞典を引張りだして調べてみた。
すると、慣わし、習慣という意味や(いわゆる風習)、教え、教化という意味を持っている。風説、風評という単語もある。風は自由に吹きながらいろいろなところへ伝わっていくところから、あるところから伝播し伝えられたものや習慣にも使われるようになったらしい。風流という言葉は、なごり、みやびという意味のほかに、礼法にとらわれず自由奔放なことを表すとある。のびやかなとらえどころのない自由さを、風にたとえて表現する感性が、やはりあるようだ。


風格とか風采とかの単語は、人の様子を表すのに用いられるけれど、これは統合されたその人らしさ、色合いを示している。自由な様子から生まれるその人らしさが、その人を特徴つける様をいうのだろう。
 そこから発展して、ある場所や地域に広まり一帯がその色に染まった状態を風情、あるいはそのものを風土と呼ぶようになったのだろうか。ちょっと強引だけれど、広い眺めの景色にそれが認められるときに、風景ということばを使うようになったのだろうか。
美しい景色のことを風致とも言う。風光という言葉はすこしニュアンスが異なって感じられる。