たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

美へのこだわり

金メダリストとなった荒川静香の、勝利への戦略を分析している番組を見た。
オリンピック直前になって演じる曲目やコーチを変更し、
こだわりのある得意技のイナバウアーを入れたこと。
演技の舞台で、前の演技者のコーエンの失敗を見て、氷が走らないらしいと、
連続回転技の回転数を減らしたことなどが紹介されていた。


冷静でかつ合理的である。
コーチの言うままに演じましたというような良く聞かれるセリフもなかった。
全て自分で判断し、築き上げてきたものをいったんリセットしてしまう勇気がある。


金メダル後のインタビューで、フィギュアという競技はスポーツではあけるけれど
「技術と美」なんだという答えをしていた。
ジャッジも人の子、美しいものに心動かされないはずがないという判断があったようだ。


金メダルを決めた荒川の演技はもう数回は見たろうと思う。
見るごとに、その荒川の美へのこだわりが次第に理解できた気がした。
演技中に笑顔がいくどか現れ、どうですかと語りかけているようだった。
そうなのか、美の表現なのか。技術をベースに、美の表現の場と考えているんだ。
そして会場のどよめきは、それを支持していたのではないだろうか。