たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

書店に寄る習慣

長いこと理解できなかった自分の行動がある。
そのひとつは、なぜこうも頻繁に書店に行きたがるのだろうという疑問だ。
仕事帰りは、とくにその症状はひどい。
先日、その疑問を上手く説明する言葉が、ふっと頭に浮かんだ。
書店が、自分にとっての境界、つまり「ドア」だからだ。


昼間は仕事に明け暮れているから、いちおう社会人だ。
会社で働いている時間帯は、仕事を最優先的にする。
プライベートなことを考えているのはとても心苦しいし、
むろん私語も慎んでいる。


仕事が終れば、やっと私人にもどる。
詩や文学、絵画、それにスキーの世界が手招きをしている。
思いっきりそれらに思いを馳せて、考察して、メモを記すことができる。


そんな社会人から私人の境界を越えるとき、
つまり自分が変身するときに、なぜか書店に立ち寄りたくなる。
そんな因果関係を自覚した(ちょっとおおげさだ)。
変身するための「ドア」的存在、それが書店であり
本との出合いなんだ、と納得した。


酒が好きな人ならば、変身「ドア」は、飲み屋というところかも知れない。
外科医の先生は、血をドバドバ見てきた手術の後は、
まっすぐ家に帰る気にならないという話を聞いたことがある。
やはり仕切りが必要なんだ。
「口直し」という日本的な表現もある。