回路の接続
どうしても上手くいかなかった運動が、あるときから「ふと」できるようになる
ということがある。
その瞬間までは、いくら練習しても意識的に強制しても、上手くいかなかったのにである。
これは一体どういうことが体の中で起きているのか。
たぶん自分だけではない。
他の人の場合でもおそらく、そのようにして上達しているに違いないと思う。
なかなか上達しなかった人が、ある日ステップを上がるように「ふっと」上手くなっていく。
これは面白い現象である。
そう思うひとつの理由は、上達が練習量に比例しないことである。
10練習していたひとが、20練習したからといって、2倍上達するかというと
そうはならない。
体が自然に合理的な動きを始めるには、忍耐強く練習を継続すること。
そして、何らかの「待ち時間」が必要みたいだ。
この「待ち時間」は、脳内の回路が接続されるまでの時間なのではないかと想像する。
植物も苗を植えたからといって、時間に比例して大きく成長するわけではない。
しっかりした根が周囲に伸びて、栄養素を吸収できる体勢ができた時、
急に成長は速くなる。
練習の継続によって、脳の内部の新しいニューロンが、どんどん触手を伸ばして、
隣のニューロンに接続されるまでは、なかなか上達しないのだが、
ひとたび接続完了となると、急に楽にできるようになるのではないか。
上達とは、園芸と同じで根が張るまでは、じっと我慢なのだ。