夜更かし
大晦日の深夜にちょっと時間をゆったりと過ごしている。
いや、なに明日はスキーに行かないと約束しているので、
早く寝なくてもいいわけである。
朝寝坊したって構わないわけである。
まあ、それほど大げさに言う必要もないが。
暖冬の予想に反し、タップリと雪に恵まれたスキー場が、
あちこち早々にオープンした。それ以来、休日という休日は、
全てスキーに出かけている。もう7日くらい滑ったことになるんだろうか。
自分は横浜の北の鶴見というところで生まれた。
かすかな記憶では、瓦礫の山があり、その向こうに広い鶴見川の
川面が広がっていた。この周辺が遊び場だった。
5歳になった時、戸塚という横浜南部の新興住宅地に転居した。
すこし町から奥に入ると丘陵が広がり、遊び呆けては、
その向こうに西日が沈んでいくのをよく眺めた。
その後、横須賀に移った。
いずれも海に近い暖かな地方に生まれ育った。
高い山々、積雪とかは無縁の人間だったわけだ。
もう長野の生活を送るようになって13年近く経過した。
はじめは違和感ばかりの赴任生活だったが、
なにより良き友人が増え、絵画を再開し、スキーなんかも覚えて、
ここで暮らしたい、ここで死んでもいいかと思うようになった。
そういう年代のせいもあり、この地を終の棲家と決めた。
人間の感覚として、大地への信頼感というものがある。
人間は大地より生まれ、大地から食べ物を得て、死んで大地に戻る。
おそらく太古の昔から、こういう感覚は当たり前だったと思う。
それが違和感なく肌で感じるようになったことが、
自分の人生観の大きな転換点になっている。
もうフラフラはしない。