色彩
人間の視覚は七色にまたがると言われるが、
その中間の微妙な混合を含めれば、
無限の数の色合いというものが存在している。
人間の目は、それらを見分けることが出来る。
絵画を描きはじめた頃の色彩の使い方をみると、
実に単純な、絵の具のままの色しか使っていないことに気付く。
目が退屈するというのか、色使いをサボっているというのか、
色彩パレット上にその使用した色を点で打っていくと、
おそらく限られた少ない点がパラパラとあるだけではないだろうか。
つまり色使いの幅が、決定的にせまくやせているのだ。
自然の緑を描くにしても、あらゆる色を使って、
そこにいろいろな色合いを見ても(夢想しても)、
いいじゃないかと思う。だから緑系統に見えていても、
赤を入れたり青を入れたり、紫を入れたりして、
緑に幅を持たせる。
そのちょっとした幅の違いが、
色使いの上で、生き生きした何ものかを生み出す。
それは、たぶん人間の視覚が無限の変化を
とらえる能力を持つためだと思う。
その能力に見合った幅のある色使いが、
見て楽しく、深い魅力を生むのだと思う。