たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

フランクルの言葉を思い出した

昨日、月足さおりさんというピアニストを追ったNHK番組を見た。
脊髄空洞症という難病で、全身の痺れと痛みに耐え、
なおかつある時期に、一週間ほどのあっという短い時間に、
視力をほとんど失なった。28歳という若さだ。


それでもピアノの演奏会に出演するために、尊敬する先生のところに
レッスンに出かけ、帰ってきて、一日何時間も練習する。
彼女の日々は、目標へ向かって努力することがあるのみで、
自分に与えられた過酷な状況への恨みとか、嘆きとかが、
語り口から全く感じられない。この若さで、見事だ。


演奏会が終ると、ファンの方々から握手を求められ、
熱いエールを受けていた。
彼女が願っているのは、自分が信ずる美しい音色を、
聴いている人に届けたいという一念があるだけ。


V・フランクルは言った。
人生に何を望むか、何がもらえるか、そういう見方、考え方もある。
しかし人生の中では、人生から何も望めないと悲嘆するような
過酷な状況も出てくる。
でも、与えられた環境の中でいかに振舞うのか、
逆に人生から何を求められているのか、
それを態度で答える、
そういう自由は、じつは誰も奪えない。
そんな言葉を、脳裏に浮かべながら番組を見た。
フランクルの言葉は、記憶による要約です)