たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

詩の芽生えるとき

詩とはけっきょく何なのか、
わからぬままかれこれ30年は読み続けている。


詩とはあるものの結果でしかないという気もする。
そのあるものとは、生命の成長点のようなもので、
あらゆるものを生み出す根源というべきなのだろうか。


だから、それを定義することがなかなか出来ない。
定義したとたんに、それは言葉としての結論に
なってしまうから・・・


池井昌樹さんの『晴夜』後記は、詩のことを思うとき
必ず思い起こす好きな文章だ。

「前作をまとめ終えた頃、書くことが出来なくなった。
書きたいとねがい、書くことのみをおもいながら、
書くことが出来ない。塗炭の日々だった。
 そうして一年、何の前触れもなく、
おもいがけない幾編かが水のようにぼくのなかから出てきた。
これまでにないおとずれだった。
 これらを書き終えたとき、ぼくはなにかを得たとおもい、
同時になにかを喪った、という強い実感をも併せて持った。
・・・・・


詩の生まれる瞬間は、いつも不安げなざわめきの中にいる気がする。
そしてそれはいきなりやってくる。
そしてその結果を予想することはできない。


歩いているときに、休息しているときに、
思いがけなく、それが羽ばたいてやってくる。