たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

脳の中の上達

理解するということは、新たな事実や情報が、
それまで自分の脳内に築いてきた体系に、
整合し合致することの確認である。
そのとき、本当にわかったという気持ちになる。


運動でも習い事でも、その技術に上達するとは、
脳の中に、自分を包含する運動モデルが構築されることである。
したがって、その運動に入る前に、
こういう角度でいくと、こんな事態が起きるとか、
この辺でいけば、ちょうど良いとかの感覚が養われて、
それが現実と一致し、間違わないことである。


現実をミニチュア化して、頭の中に収納し、
いろいろな場合に関してシミュレーションできるとき、
上達したといえるように思う。


残念なことに、映画MATRIXのようにプログラムをロードすれば、
たちどころにカンフーができたりというわけにはいかない。


繰り返し、繰り返しいろいろなシミュレーションを、
「現実の場で」おこなって、失敗して痛い目にあって、
フィードバックしていくことでしか、脳は学習しない。
人間の脳は、失敗修復フィードバック系なのだ。


スキーでは、1万ターンした人より、2万ターンした人のほうが
上達していると言われる。
テニスや野球の素振りだって、おそらく同じだろうと思う。


一見するとムダばかりのようにも感じるが、
単調な繰り返し練習は、筋肉の運動量や、得られた感覚などと
脳の中のモデルとのつきあわせを行っているわけだ。


ちっとも上達したように感じなくても、
あるとき脳内モデルと合致する日がやってくる。
なぜ今までできなかったのだろうと感じるときが来る。
できてしまえば、こんな容易なことが、
と思うようになるのだ。