たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

写実画に脚光とか

昨日(6/17)の読売新聞に、『写実絵画 「明快さ」で脚光』という記事が載っていました。写実画が人気を博しているとのことで、不況にもかかわらず画廊やアートフェスタの売り上げも伸びているということです。
その理由のひとつとして、美術運動の衰退があげられると、写実画家の森本草介さんは推察。世界的に潮流となる絵画の運動がないのがいまの状況ということらしい。


目立つ絵画の運動がないから、写実が評価されるという関係もどうなのかなと思います。流行や運動があれば評価が高まって人気が出て絵も売れて・・・という連鎖があるということなのだろうけれど、いいものはどんな流行の中でもいいと言い切れるような姿勢も重要だと感じますね。自分の感覚としては、個々の画家はそんな運動とはかかわりなく自分の絵を追求している姿が普通なのだろうと感じていたわけです。


写実画の陥穽についても記事は触れていました。写実のわかりやすさが災いし、ただの叙情画にとどまってしまう危険性ですね。風景や女性を表面的に美しく描いているのだけれど、奥行きがない、そんな問題点です。きっと物を捉えるうえで表面つらだけ描いている弊害を言っているのだと思います。存在がそこに現れているようなそんな絵が見飽きない作品になるのだと思いますね。高島野十郎の絵を思い浮かべました。