たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

人口分布の動きで

大きく人口の分布が変化していくとき、現在の年金制度で採用している「世代間支払」のやり方は歪を生む。労働人口が充分にあり年金の支払額(徴収額だが)の総計がタップリあれば、それを高齢者に分配していく金額や方法には、さまざまな自由度がある。過去において日本はこのパターンだった。高齢者に分配しても分配しきれず、その原資はあり余っていた(ように錯覚した)のかもしれない。厚生年金などの基金による「箱もの」が各地のリゾート地に建設され、安い値段で利用できたように記憶する。およそビジネス感覚からは離れた、よくこんなものが作れるものだと、公共的な施設を見て思ったものだ。なにせ金余りだったから、何に使っていいかわからずに、ムダ使いした。


高齢者が増え、労働人口が減っていく現在の人口分布の変化は、当然のことながら年金を支払う原資に事欠く事態を産み出す。「箱もの」が事業として利益を生み、投資したお金が「生きたお金」になりビジネスになっていれば、あるいはその利益や税金でバランスは取れたかもしれない。いやそうすべきだった。不用意に自覚なく大金を手にして、本来の年金のあり方を忘れてしまった。人口動態が産み出した潤沢な年金資金は、結局「死に金」、つまり遊びに使ってしまった。いまや高齢者には支払を遅延し、若年労働者からは確実に徴収するという方向に行かざるを得ない。


人口統計という長い時間をかけて形成される厳然たる数字の羅列を、長期的な視野にたって眺められる見識がなかったら、年金の原資をいじってはいけない。そんなことを思う。いまや企業の定年は60歳になればやってくるのに、年金の全額は65歳からだ。サラリーマンならば、何十年と確実に源泉徴収されて(つまり給料天引きされて)年金を支払ってきたのに、必要なときに受け取れないとは何たることかと思う。


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