訓練なのだ
先日の絵画教室では、プロが見ている視点というものが、われわれアマチュアのそれとはずいぶん違うということを痛感させられた。その違いについて先生との会話の中でそれとなく聞いてみる。すると、
「ある時期に死ぬほど訓練するんだよ」というのが答えだった。「デッサンだったらデッサンを死ぬほど描く」・・・なるほど。
「その経験の中からひと目でデッサンの狂いとか、歪んでいるとかが見抜けるようになる。それは視力とは違って、感じるもの」ということだった。プロの訓練をつんだ人同士なら、デッサンがおかしい絵は、共通しておかしいね、とすぐ理解するものらしい。
アマチュアの立場からは耳が痛い話だ。そうしたしっかりとした基礎の上に表現の世界を構築していく。基礎の無いのは、それらしく描いても馬脚が見え見えということだ。人づてに聞いたのだが、墨彩画を描くタレントの絵を評して、ハッタリなんだよと先生はひと言で切って捨てたらしい。一時期ずいぶん著名になってTVなどで講師を務めていた人だ。
授業料を無駄にせず、とことんプロの考えていることがら、見ている視点を盗んでやろうと改めて思った。妥協のない先生の言葉は、時としてグサッと来ることが多いけれどね。アマチュアのレベルのプライドをかざしていても、所詮はごまめの歯軋りというヤツかもしれないし。