たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

日々変わりつつ

同じような種類の本ばかり読んでいてはダメだろう。
それは自分の好みをただなぞっているだけで、好きな部屋に閉じこもり一歩も外へは出て行かないぞと内心決心している男みたいなものだ。
同じことの繰り返しの中からは、何の化学反応も起きてこない。
無から有が生まれるなどというのは迷信だ。
新しいことがらは、これまで結びつかなかったことがらが
結び付けられたときに生まれる。
好むと好まざるに関わらず、世の中はそのようになっている
(と言い切ってしまおう)。


このところ面白い本に出会う機会が増えた。
いわばメチャクチャな本の探し方や読み方を、こだわりなく平気でするようになって、めぐり合いのチャンスが増したのだと思う。


今デスクの横に11冊の本が横積みされていて、
これらの種類に関してはまったく脈絡がない。
それはそれでいいのだと思うようになった。


下の古い方から、
・『中学総合的研究理科』(旺文社、ホントの中学参考書)
・井上一馬『一生使える英単語』ソシム
・飯島弘文『Windows究極活用』翔泳社
・ジョン・C・マックスウェル『この人についていきたいと思わせる21の法則』ダイアモンド社
・荒木創造『お金持ちになりたいなら性格を変えなさい』ダイアモンド社
・松井こずえ『ビジネス英語会話編』Jリサーチ出版
・野本陽代『カラー版・宇宙はきらめく』岩波ジュニア新書
・鐸木能光『デジタル写真は撮ったまま使うな!』岩波アクティブ新書
仲正昌樹『ネット時代の反論術』文春新書
・永瀬清子『あけがたにくる人よ』思潮社
・小川捷之『会社に行きたくない!』ハヤカワ文庫


一番最後の本など、書店の本棚から引っ張り出すのがちょっと気が引ける題名(まるでサラリーマンウツに陥ったみたい)だが、実に久しぶりに感銘を与える深い本。早くも愛読書になりつつある。カバーを着けて題名が見えないようにしているが。
サラリーマンのかかえる悩み相談に対して、鋭く心理分析し完膚なきまでに暴いてしまう徹底ぶりがとても新鮮。


役に立たずの秘書の女性を何とかしたい、という相談に対しては、ズバリ開口一番、あなたはこの秘書に対してだけでなく、同性との人間関係もうまくいっていないのではないかと切り込む。女性との適切な人間関係が持てない男性は、対人関係でもどこかに問題があると指摘。

「彼女の関心はお洒落と恋愛だけ」と秘書を切り捨ててしまうあなたは、言わば人間関係での成長停止、思考停止の状況にあると言っていいでしょう・・・


遊びが好きで会社では責任ある立場にはつきたくない、出世したくないという男性にたいしては、「仕事より遊び、そう割り切って生きています」とあなたは言いますが、「割り切って」いないからこそ、係長に昇進するという場面を迎えて自分のこれまでのライフスタイルが揺らぎ、不安になっているのではないかと指摘。

つまり「おれは趣味に生きる」と言いながら、無自覚な感じです。これがあなたの生き方の本質です。

また、次のような追い討ちがつづく。

あなたのタイプの人間に共通していることは、「おれは趣味に生きていく」と言いながら、会社で出世した人の悪口を言うことです。しかし、本当に遊びに徹したら、そんな悪口や不平、不満など出てくる道理がありません。
・・・
きつい言葉ばかり続けますが、さらに言えば、あなたは会社の年功序列の中で生きていく自信がないから、エスケープとしての遊びに興じているのではないか、とさえ考えたくなります。

ちょっと心理分析の世界に関心を持った。


ところで永瀬清子さんという詩人を知らなかったのだが、永瀬さんの詩集は、地味ながら一編読むごとに泣ける。こんな詩を書いてみたい。久しぶりにそう思った。