油彩こそ真の絵画か
鉛筆画の画集というものがないのかなあと、以前から探してはいるが、いまだにこれぞというものは見つからない。あるのは鉛筆によるデッサンの手法を説いたもの、鉛筆による下書きの心構えのようなものだ。要するに鉛筆による「絵画」というジャンルがすっぽり抜けているような印象を受ける。
むろん数少ないが、最終の画材として鉛筆を使われている画家の方もおられる。思いつくまま記せば、スーパーリアリズムという趣の尾崎真吾さん、および野田弘志さん、あとは幻想的な鉛筆画の世界を描き出す建石修志さん。あとは竹内和也さんの独特の世界もちょっと印象的。
アメリカでは鉛筆画や色鉛筆画の画集があり一冊だけ所有しているが、素晴らしい作品が並んでいる。また鉛筆画の大家がいるみたいで、そのメソッドが紹介されていたりする。つまり独立した絵画のジャンルのようなのだ。
つまるところ日本における洋画は、伝統的に油絵に尽きていると思う。美術学校のシステムの中でも最終的には油絵で描くことが最終目的で、水彩画や鉛筆で描いたものは、油絵に至る前段階、つまり下書きなのだという考えのようだ。絵画表現という山登りをするのに、使う画材としては、この油絵というルートを通らなければならないと考えているみたい。
単色といえば、水墨画や書画があるけれど、これは日本古来の表現手段だった。いまはどんな扱いなんだろう。やはり西洋モノがいちばんエライのだという頭か。千住博さんの滝シリーズは、単色のすごさに圧倒されるが。
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下の鉛筆画は、先日ネット仲間展に課題作として投稿したもの。今見ると、明るい方の諧調表現がやや少なかったかもしれないなと思う。
バラ WIRGMAN F6 BLOCK 鉛筆3B、2B、HB、H