たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

新年2

歳をとると細かい字が見えなくなり歯が悪くなり足腰が弱る。しかし脳の方はそうとはいえないような気がする。


若い頃は、単一で、純粋、だから尖がっている。一点集中しているがゆえに開ける穴は深い。大発明や発見は、これによるものだろう。しかし応用がきかないし、他が見えていない。


歳をとると、大発明をしたり数学的な発見をする能力は衰える気がするが、視野の広さを拡大しバランスを理解し、多様性の中で自らを適用させるようになると思う。


思い出すのは仙崖和尚という名僧の老人に関する歌だ。


この仙崖和尚、臨終の床でお別れに何かありがたい遺訓を求められ、「死にともない、死にともない」と書いた。
集まった周囲の人間は、驚いた。名僧ともあろう方が、こんなみっともない言葉を綴るはずがないと考えた。再度、床に伏す仙崖和尚にそれを質す。
すると「ほんまに、ほんまに」と付け加えた。


仙崖はそんな周囲の人の反応を逆手にとって、最期の説教をしたのじゃないかなと、この逸話を思い出す。



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