たぶん絵的なBLOG

画材店の店主がつづる絵画や画材のあれこれ

[絵画]模写がほぼできた

先日水貼りした紙に、水彩の模写を試みた。習う相手は、王軍さんという中国出身の水彩画家。水彩とは思えない油彩画風の重厚な作風なのに、ゴテゴテせずに魅力溢れる絵画だ。一枚の繪の最新号(4月号)に、新連載の水彩画教室の紹介があり作品が掲載されている。その中の『秋のセーヌ河』という作品を選ぶ。著作権の問題があるため、原画の画像を転載するわけにいかない。雑誌を見ていただければいいかと思う。


使用した水彩紙は、昔買った(たぶん)マーメード紙。サイズは556×390mm、坪量300g。あまりドーサ抜けは起こしていないようだ。


元絵には淡い空の色が塗られているので、自分としては珍しく空から着色する。コバルトブルーや、ウルトラマリン、それにバーミリオンなどを少々。淡い部分の色合いを真似しながら、広く塗る。そして濃い部分の色を確認しながら少量つけていく。



暗い部分の色つけを本格化する。とくに河の左側の暗い部分とその上の林の枯れ葉色。濡れている段階で、彫刻刀のはらを使って幹になる部分の線描きを入れる。右の淡い色彩の林にも色を足していく。建物の陰に当たる部分の色つけをする。



左手中央にある林の色彩を描き込む。また右の土手のところに被っている草のような茂みにもカドミウムオレンジや緑系の色を滲ませていく。中央部の建物の窓や陰を形をとりながら描き込む。川に浮かぶ船の船体部分には、まだシッカリと絵の具が載っていない。原画に比べると、左の林も、まだ弱い感じがする。自分の感覚としてはこの辺で筆を置くのがちょうどいいなと思うが、王軍さんの絵の模写だからそれを追いかけることにする。



弱いなと思うところに描き込みや、色のたらしこみを行って重厚にする。左の林の重厚感がなかなかでない。どうも透明水彩では難しい。ガッシュやアクリルを使えば可能かもしれない。でも乾かしては塗り、また乾かしては塗るという行程を繰り返すこととした。林の幹なども細かい部分に手を加えていく。



この辺で終了とした方がよさそうだ。これ以上描くと説明的になることと、水彩画らしい生き生きとした感じが失われる気がする。一応ここで完了とする。